平成27年度 各教科の研究について

研究主題 : 持続可能な社会を支える資質・能力の育成
       ー 論理的に思考し表現する学び合いを通して ー(3か年研究1年次)

 
研究の焦点
  ⇨「きょうどう」の精神を発揮する質の高い学びの創造      
   ※「きょうどう」・・・ 共同 協同 協働 
       〇 ESDの視点に立った問題解決的な学習の充実

       〇言語技術教育の成果を活かした学習活動の展開
       〇資質・能力が育つ評価(パフォーマンス評価等)の工夫

【 国 語 科 】

  文学作品における学習課題を協同的に追究し読み深める力の育成

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○ことばのイメージを丁寧に捉え,読みを深めて,自分の考えを筋道立てて説明する力の育成

 牟礼慶子作「見えない季節」を教材として扱った実践。「何が見えないのか」「なぜ見えないのか」、詩の言葉や言葉のつながりを丁寧に捉えながら考え、読みを深めた。さらに、比べ読みや協同の学びを取り入れ、この作品の魅力はどこにあるのか、自分の考えを筋道立てて説明したり、友だちの考えを聞いたりする中で、多様な読み方があることを知り、詩の内容や表現について深く考えることができた。

(細川 美保)

〇一人一人の考えをより深める指導の工夫

 平家物語「扇の的」を教材として扱った実践。①パフォーマンス課題の設定,②小集団で力を合わせお互いのよさを認め合いながら課題を解決する協同の場の設定,③主張と事実,理由づけ(説明)を明確にしながら筋道を立てて考えたり表現したりする意識をもたせる指導の工夫,以上三点により,一人一人の考えを論理的かつ着実に深め,古典を深く読み取り,その魅力を味わわせることができた。

(大上 航太)

〇他者との対話的な学びを通して文学作品を読み深める学習活動の工夫
 「字のない葉書」の学習では、文章内容を読み取るために、文章全体を4つの構造に分け、言葉を拠りどころにした論理的な読取を行った。さらに、人物の心情や作者の考え方に深く迫るために、「最もつらかったのは誰だろう」という発問で話合い活動を行った。根拠を明確にしながら話し合うことで、自分の考えが深まったり変わったりした。文学作品の読取のおもしろさに気づき、他者と学び合うことの喜びを感じさせることができた。

(丸山 佑樹)

【 社 会 科 】

  よりよい社会や自分の姿を思い描く力の育成
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〇社会の形成者の一人として未来を構想する社会科学習の展開

【地理的分野 世界の諸地域「アジア州」の実践より】

 アジア州の急速な経済成長の背景について問題解決的な学習で主体的に追求させた。その際、ワークシートを工夫したり、短い文章にまとめさせたりすることで思考を整理させた。さらに、よりよい将来の社会や世界を志向させる問い「アジア州を将来にわたって持続的に成長させるために、どのようなことに取り組まなければならないか」に向かわせる中で、生徒に自分の立ち位置の自覚を促した。

(西田 剛志)

〇つながりを捉える社会科学習の展開

【歴史的分野「近代の世界と日本」の実践より】

近代の特色を「近代化」を柱にして、明治時代、大正時代、終戦までの昭和時代の三つの時代に分けて学習を進めた。各時代の特色を明らかにする場面で、追究課題を設け、「協働」の精神を発揮させる学び合いの場を設定した。その際、ホワイトボード上で各自の学びのつながりを可視化させたり、論理的な思考力や表現力を意識して考えを伝え合わせたりしたことで、対話的な学びに近づけることができた。

(田中 寿佳)

〇あるべき姿を求める歴史学習の創造 -「第二次世界大戦と日本」の実践より-

 学習問題「なぜ、日本人は再び戦争に向かったのか」の追究を通して時代状況を捉えさせた。そこでは、学習過程(「教えて考えさせる授業」の展開)や学習形態等を工夫することにより,生徒が論理的思考力や表現力を発揮して、主体的に学び合う姿が随所に見られた。単元の終末では、追究を通して得た知識や技能等を活用して、パフォーマンス課題「なぜ、戦争は起こるのか、どうすれば戦争を防げるのか」についてレポートにまとめさせた。このような学習を通して、単元の学習で得た理解が現代認識や未来構想に資するものになると考えた。

(宮本 真人)

 

【 数 学 科 】

 解決の過程や結果を振り返って修正・改善する力の育成
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〇生徒全員が課題解決の仕方や推論の過程を説明する力の育成

 -第2学年「式の計算」「連立方程式」の実践より-

 クラスの生徒全員が授業に参加することをまず前提に考え、生徒の興味をひくような教材の開発や課題の提示の仕方を工夫した。またジグソー学習を取り入れた協働学習を定期的に取り入れながら、課題解決の仕方や推論の過程を論理的に説明し伝え合う力を伸ばすことができた。

(宇都宮 憲二)

〇数学的な見方や考え方に着目して、よりよい問題解決の方法を見いだしていく学習の創造

-第1学年「文字の式」の実践より-

 生徒がよりよく問題を解決していくためには,数学的な見方や考え方に着目して解決の過程や結果を振り返らせることが必要である。授業の振り返りの場面で、問題解決のために有効であった数学的な見方や考え方,判断の仕方等について,根拠を基に表現し合わせ、「まとめノート」を作成させた。生徒は自分の考えを解決の過程や結果を振り返って修正・改善し、よりよい問題解決の方法を獲得していくことにつながった。

(冨永 剛志)

〇クリティカル(批判的)に考える態度が育つ数学科学習の展開

 第2学年「一次関数」の学習を通して,情報を鵜呑みにせずに多面的,客観的に捉えて本質に目を向けたり,自他の思考に誤りや偏りがないかを意識的に吟味したりする態度,つまりクリティカルに考える態度の育成を目指した。「疑問や先入観を活かした学習過程」「全員が思考過程を振り返る場」をキーワードに授業を構成することで,クリティカルに考えることのよさや根拠を明確にして筋道立てて説明することのよさを実感させることができた。

(山本 泰久)


【 理 科 】

 課題の解決に向け、自ら考え、見通しをもって行動する力が育つ理科学習の展開
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〇よりよい社会を切り拓こうとする力の育成 ―仲間との学びを通して―

「光の世界」の単元において,光の性質(直進・反射)の観察を通して,身の回りの物体が見える仕組みを理解させる。その際、問題解決の過程を重視し、本校で力を入れている言語技術教育の取組が生かされるよう工夫した。単元末には本質的な問いに迫るためのパフォーマンス課題による評価を行い、実践した。

(岡本 慎次)

〇自然事象を科学的・論理的に捉えるための問題解決の過程の習得について

 -2年生 「動物のからだのつくりとはたらき」の実践より-

 「動物のからだのつくりとはたらき」において、問題解決的な過程を重視した授業を実践した。「見えるとはどういうことか」という課題のもと、盲点の確認や鶏頭水煮の解剖を行い、観察、実験結果と既習内容を活用して「物が見えるしくみ」について考察させた。考察した内容を表現させる活動を、個人→小集団→全体(まとめ)の3回にわたり行い、考察のたびに内容が適切なものになっていくことを見取ることができた。

(辻井 修)

〇未来へと学びをつなぐ生徒の育成 -自己・他者・自然との学びを通して-

 「化学変化とイオン」の単元において,化学変化の起こった根拠をイオンのモデルを用いて説明し合う学習活動を繰り返し行った。その際、本校で力を入れている言語技術教育の取組が生かされるよう工夫した。単元末には本質的な問いに迫るためのパフォーマンス課題による評価を行い、永続的な理解(化学変化の中にはイオンが関わる現象があり,その現象は,イオンという電気的性質をもつ粒子を用いて説明することができる)へとつながるよう逆向き設計を用いて実践を行った。

(森山 由香里)

 

【 音 楽 科 】

 学び合いを通して主体的に表現する生徒の育成 知の蓄積から知の活用へ


 感性と知性で音楽を構成する様々な要素を有機的に統合し,音楽的思考力を高めるために,鑑賞と表現の関連を図った教材選択・題材構成した。また,中1の初めの段階として,楽譜に書かれた記号を心的な意味に置き換えて(内包的意味)説明することを気付かせようにした。ものとものとの間に関係を見つけ,多様な考え方ができることに気づかせるとともに,解決する適応の仕方を発見することをねらいとした。歌唱において,個人レベルでは内包的意味で説明しようとする姿は見られた。全体の場では、音楽的思考が生徒の言動として見えにくかったことが今後の課題である。

(来嶋 英生)


【 美 術 科 】
 批判的に考え,互いに感性を刺激し合うコミュニケーション力の育成

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 鑑賞活動において「自分がどのように考えたのか」「他者がどのように考えたのか」など,グループで話し合うことで積極的にコミュニケーションさせた。その際に,美的表現を活用したコミュニケーションとなるようキーワードを用意して言語活動を行うように設定し,作品を介して鑑賞活動がもつ本来の学びのきっかけにすることができた。こうした練り合い高め合う活動を表現活動にも取り入れ,発想・構想を練る段階でも大いに役立たせたい。今後は,批判的思考から論理的思考へ発展させ,そして創造的思考へとつなげることで豊かな感性を育んでいきたい。

(大川 博司)

【 保 健 体 育 科 】

 豊かなスポーツライフの実現に向けて主体的に運動実践できる力の育成
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〇運動有能感を高める保健体育学習の創造

 第1学年器械運動(マット運動)の実践を通して,生徒の運動有能感が高まる授業を目指した。単技を練習する際,技別にグルーピングし,共通の視点で互いの演技を観察できるよう学習形態を工夫した。また,ICT機器を用いて仲間の演技を録画し,改善すべき点や改善に向けた練習方法を伝え合う,協同の学びを展開した。下位群の有能感は高まったが,これからの研究で,上位群の有能感を高めるための方策を探っていく必要性が感じられた。

(古澤 龍也)


【 技 術・家 庭 科 】

生活の中の課題を見つけ、解決する力の育成

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(技術分野)

-技術を活用する力を育てる学習指導の在り方-

 「Dプログラムによる計測・制御」の内容において、教師とともに学び合う段階、その活動で身に付けた力を発揮する協働作業行う学習過程の工夫を行った。基本学習では、生活の場面で活用している技術をモデル教材として準備し、制御の完成を目指した実習から、課題の発見や仕組みの理解、技術を活用することで解決できることを学んだ。また、この活動を通して「課題を見つけるための発散的な思考」や「解決を実現させる論理的な思考」を伸ばし、生徒は様々な場面を想定した計測・制御技術の活用を考えることができた。

(斧 純司)

(家庭分野)

-習得した知識や技能を生活に生かす力の育成-

 生活場面を想定した課題解決的な学習を通して、協同で学び合う中で、自分の生活の課題に気付き、改善に向けて実践しようとする力につなげることを目指した。身近なお弁当の「献立作り」のパフォーマンス課題を設定し、付箋を使った協同の学びを設け、アドバイスし合うことで、よりよいお弁当の献立について考えることができた。さらに、実践課題を通して、大変さ、楽しさ、充実感、感謝など多くの気付きが得られ、実践化への意欲が高まった。

 (土手 佳代)

 


【 英 語 科 】

自分の気持ちや考えを表現し伝える力の育成
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〇談話能力が育つ学習活動の研究

 単文レベルではなく,まとまりのある談話や文章を構成する能力「談話能力」を伸長させることを目指した。「身近な人紹介」に関するパフォーマンス課題を設定し,小集団で話し手と聞き手に分かれさせ,発信されたスピーチに対する質疑応答やコメントのやりとりをさせた。生徒はこれまでに習得した言語材料を試行錯誤しながら用い,互いの気持ちや考えを伝え合う場となった。ルーブリックでの評価は,採点の透明性や一貫性,効率性を高めるだけでなく,生徒同士が関わり合いの中で他者の発表や評価を自分に生かして自ら課題を見いだすことにつながった。

(濵田 眞基子)

                      

聞き手を納得させる英語力が育つ学習活動の研究 ―ディスカッションの成功を目指して―

 あるテーマのもと意見交換をするとき,単なる意見発表にならないように,協働学習を取り入れてディスカッションを行った。それぞれの役割を,speaker, listener, writer , judgeとし,自分たちのグループの意見を述べるとともに,相手グループの意見を踏まえた反対意見が述べられるよう取り組ませた。役割はテーマごとに交代し,生徒がすべての役割を1回ずつ行えるよう工夫した。本年度は,特に,論理的に思考し表現する生徒を育成するため,意見を述べる際は,文型の上では主語+動詞が整った英文,内容の上では,根拠や具体例を入れて聞き手を納得させる意見交換になるよう意識させた。

(河野 操)

                      

〇自律的学習者が育つ英語授業 -パフォーマンステストの実践より-

 学んだことを積極的に使っていき,さらにそれらを伸長させようとする自律的学習者を育成するため,パフォーマンステストを取り入れた授業作りを行った。「海外旅行計画」についてのパフォーマンス課題を与え,スピーチ原稿を書かせた後,原稿を元に友だちと即興で対話させた。本年度は,論理的に思考し表現する生徒を育成するため,「話型」を手がかりにグループで話合いをさせたり,友だちと対話させたりした。

(河野 圭美)


【 行 く 河 】(総合的な学習の時間)
自分らしく生き抜く生徒の育成

             

〇自分らしく生き抜くための資質・能力の育成方法について

 今年度の「行く河」は総合的な学習の時間の中で各学年6時間ずつ行うことができた。社会の状況に応じて心の能力を活用できるようになるためには、話す、聞く、考えを交流することを効果的に行うことが不可欠である。「論理的に思考し話す」ことをねらい、話しやすい場づくりや思考がまとまりやすいアイテムづくりを工夫した。その結果、思いや考えの交流が生じ「みんなと話すのが楽しい」と答えた生徒が多くなった。

(山口 京子)